難聴について

2025.12.09

最近、「もう一度言って」「テレビの音が大きい」と言われることはありませんか。
年齢とともに聞こえが変化していくのは自然なことですが、そのままにしておくと、会話や外出をためらってしまうきっかけにもなります。

ここでは、1. 日常で気づきやすい聞こえのサイン、2. 耳のしくみと難聴の種類、3. 年齢と聞こえの関係を図とともに簡単にご紹介します。

ご自身やご家族の「聞こえ」を見直すヒントにしていただければ幸いです。

こんなこと、ありませんか？
1つでも当てはまるものがあれば、難聴の可能性が考えられます。

まずは、ふだんの生活の中で「聞こえ」で気になる場面がないか、簡単に振り返ってみましょう。
チェックリストで思い当たることがある方は、図に示した難聴の程度とあわせて、ご自身のおおよその聞こえの状態をイメージしていただけます。

・聴力レベルの推定と補聴器の必要性のコメントはあくまでも目安です。難聴（聴覚障害）の程度分類は、日本聴覚医学会難聴対策委員会の報告に基づいて記載してあります。

・補聴器を装用することで、難聴が進行することはありません。補聴器は、個々の難聴や「聞こえ」の程度に合わせて調整（フィッティング）することが必要です。

・補聴器は適切なフィッティング調整により、その効果が発揮されます。しかし、装用者の「聞こえ」の状態によっては、その効果が異なる場合があります。

・詳しくは耳鼻科の専門医もしくは補聴器取扱店にご相談ください。

そもそも、どうやって音が聞こえ、どうして難聴になるのでしょうか。

私たちが「音」を聞き取るまでには、耳介から鼓膜、中耳、内耳、そして脳へと、音の情報がリレーのように伝わっていきます。
どの部分も役割が少しずつ異なり、そのどこかにトラブルが生じると、聞こえ方が変わったり、聞き取りにくさとして感じられるようになります。

下の図では、音の入口から脳で「聞こえ」として認識されるまでの流れを、順を追って確認できます。耳のしくみを知ることで、ご自身の難聴のタイプや、これから取りうる対策もイメージしやすくなります。

難聴には、３つの種類があります。

●伝音難聴：音を伝える「外耳」や「中耳」の障害です。

●感音難聴：「内耳」もしくは「内耳」以降の、神経回路の音を感じる部分の障害です。

●混合性難聴：伝音難聴と感音難聴、両方の原因によって起こる難聴です。

年齢とともに、特に高い音から聞き取りにくくなってきます。

年齢とともに進む「加齢性難聴」は、一般的に高い音から少しずつ聞き取りにくくなるのが特徴です。
このオージオグラム（聴力図）を見ると、年代が上がるにつれて、高い周波数（高い音）のラインがゆるやかに下がっていく様子がわかります。

高い音には、会話の中の「サ・タ・ハ行」や女性や子どもの声、電子音などが多く含まれています。そのため、聞こえの変化は「声は聞こえるのに、言葉の聞き分けがむずかしい」「にぎやかな場所だと会話が聞き取れない」といった形で現れやすくなります。
少しでも早い段階で気づき、対策を始めることが、これからの毎日をより快適に過ごすための第一歩になります。