新しい補聴器に慣れるために 〜音の世界を再発見する〜

2025.05.21

新しい補聴器から届けられるさまざまな音は、ときに「うるさい」と感じることがあります。

そんなときこそ、「焦らず、あきらめず、少しずつ慣れていく」ことが大切です。

電話の着信音、街の喧騒、鳥のさえずり・・・

これらの音が再び耳に届いたとき、日常の風景がどれほど豊かであったかに改めて気づかされます。補聴器は、失われつつあった音の世界を再び私たちのもとへ呼び戻してくれる、大変重要なパートナーです。

しかし、長らく聴覚が低下した状態に慣れていた方にとって、新しい補聴器から届けられるさまざまな音は、ときに「うるさい」と感じることがあります。そんなときこそ、「焦らず、あきらめず、少しずつ慣れていく」ことが大切です。

補聴器に慣れるまでの道のり

 

新しい補聴器を使用し始めた最初の数週間は、「慣れる」ということに多くの時間とエネルギーを要します。

それは単に耳に装着することに慣れるという意味だけではありません。音の聞こえ方そのものが大きく変化するため、脳もその新たな刺激に対応しようと再調整を始めます。

たとえば、自分の声が以前とは違って聞こえることがあります。これは「閉塞効果」と呼ばれるもので、補聴器によって耳の中の空間が変化し、声がこもって聞こえる現象です。

時間の経過とともに、あるいは専門家の調整によって、徐々に気にならなくなっていきます。

静かな環境から始める

最初は、ご自宅など静かな環境で補聴器を試すことをおすすめします。

背景音が少ない環境であれば、ひとつひとつの音を認識しやすく、補聴器に慣れるための良い練習となります。

無理に一日中装着する必要はありません。最初は3~4時間から始め、徐々に装着時間を延ばしていくのが理想です。

会話の練習も忘れずに

 

会話は補聴器の真価が発揮される重要な場面です。

まずは静かな場所で、1〜2人の話し相手とゆっくりと会話するところから始めましょう。相手には補聴器を使い始めたこと、サポートしてもらいたいことを率直に伝えると、コミュニケーションが円滑になります。

また、会話の際には、正面を向いて話す、口元を見えるようにする、身振りや表情を交えるなどすることで、理解がぐんと深まります。

補聴器の活用を広げる

補聴器にある程度慣れてきたら、テレビを見たり、ラジオを聞いたり、友人に電話をかけたりする練習も取り入れてみましょう。

ニュース番組のアナウンサーは明瞭に話すため、聞き取りの練習には最適です。

騒がしい場所での挑戦

 

街中や飲食店など、背景音が多い場所で補聴器を使ってみるのも大切です。

最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、脳が雑音と必要な音を選別する能力を再び身につけるためには避けて通れないプロセスです。

聞こえのトレーニング5つの実践法

聴力は脳の働きとも密接に関係しています。以下のようなトレーニングを日常に取り入れてみてください。

  1. 音の方向を探る:人混みの中で特定の音を聞き分け、その発生源を探してみましょう。
  2. 音と感情を結びつける:目を閉じて、聞こえた音が呼び起こす感情に注目してみてください。
  3. 一つの音に集中する練習:騒がしい場所で、特定の音(たとえば一人の声)に意識を集中させてみてください。
  4. 両側からの会話を聞き分ける:左右両側から同時に話しかけてもらい、それぞれの内容を理解する練習です。
  5. 表情から意味を読み取る:テレビを無音で見て、ニュースキャスターの口の動きから話の内容を推測してみましょう。

ご家族やご友人の協力も大切に

 

補聴器はあくまでも“機器”です。より良い「聞こえ」には、周囲の理解と協力が欠かせません。ご家族やご友人には、ゆっくり・はっきり話すことや、顔を見て会話することの大切さを伝えましょう。

もし補聴器の使用に不安がある場合は、私たち、補聴器専門店オーディオ・ノバにご相談ください。お一人おひとりの悩みやご要望に合わせて、音のある暮らしをより快適なものにしていくことをお手伝いいたします。

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リケン補聴器センターと池田補聴器は、
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